雲仙天草、西海の両国立公園に、日本で最も多い971もの島を有する長崎県は、異国情緒にあふれた数多くのスポットをはじめ、温泉や豊かな食材にも恵まれ た魅力満載の観光地である。その西端、西彼杵半島に位置する西海市大島町で、地元の漁師から直に仕入れる魚を中心としたフレンチで訪れる者を魅了するのが「オーベルジュ あかだま」だ。大島大橋を経由して車で向かうのもいいが、佐世保港からの30分ほどの船旅も、島のオーベルジュという非日常空間に向かう 気分を高揚させる格好の手段としておすすめである。

 

インタビュー

大島の豊かな恵みを、シンプルなスタイルでお楽しみいただきたいと思います。
オーナーシェフ

中村浩徳氏に聞く

オーナーシェフ 中村浩徳氏:
長崎県大島町出身。調理師学校卒業後東京のレストランでの修行を経て地元に戻り、両親の経営していた「あかだま食堂」を継ぐ。その後2003年、「オーベルジュ あかだま」を開業する。

わが国を代表する造船所、国内最初のトライアスロン開催地。名産のトマトに釣り、海水浴。西海市大島は様々な顔を持つ風光明媚な場所である。この自然豊かな土地で、地元の食材をふんだんに使ったフレンチで圧倒的な支持を得ているのが「オーベルジュ あかだま」だ。木立に包まれた敷地に部屋はわずか3室。まさに究極とも言える空間を創られたオーナーシェフの中村浩徳氏にお話をうかがった。

木の持つ力は本当に大きいと思います

あたかも森の中にひっそりとたたずんでいるかの感がある、「オーベルジュ あかだま」。
まずはこの空間の魅力についてお聞きした。
「何と言っても大きいのは、木の力だと思います。元々ここにあった木と、後から植えたものがうまくつながって1つになった感じですね」
「そのように建物の周りの木々がいい感じで生い茂ってくれたおかげで、部屋からは夜の暗さ、昼の明るさがごく自然に感じ取っていただけるようです。また、外からの目線は遮りつつも、中にいるとすっきりした感じがするんです」
「もっとも、土作りに始まって木々が根付くまで、およそ5、6年はかかりました。その頃からいい感じになってきましたね」
「木々がある程度大きくなってきたら、もう自然の摂理にお任せです(笑)。虫がいても、それを食べる鳥が来ますから、それほど目立ったりはしません。鳥はよく来ますよ。水ガメがあるんですが、そこで水を飲んだり、水浴びをしたりしています」
こういうごく自然な環境が、何とも言えない落ち着き感を醸し出しているのだろう。
「建物も同じです。やはり木造建築ですが、大工さんが本当に頑張って造ってくださいました。派手さはまったくありませんが、どこかほっとする。それでいいと思います。やはり人間は、木と密接につながっているんではないでしょうか?」
「木で造られた建物そのものが持つポテンシャルが大きいんでしょう。梅雨時でもそれほどじめじめしませんし、冬もさほど乾燥はしません」
「また、部屋の調度も、そういう空気感に合わせています。たとえば家具は北欧のシンプルで落ち着きのあるものを配しました。口では上手く言い表せませんが、そんなナチュラルな雰囲気をお客様に体感してもらいたいと思います」
部屋は独立したタイプで全3室。
それぞれに個性があり魅力的だが、お話にもあった通り共通するのは落ち着いたたたずまいである。
一歩足を踏み入れた瞬間、身体から無駄な力がすっと抜けていく素敵な空間だ。
「元々ここは6メートルほどの小山でした。南向きにならだかな斜面があって、それぞれの方向に海と橋が見えるんです」
「基本設計は東京の設計士さんにお願いをしたのですが、レストラン、宿泊棟、駐車場といった様々な要素を見すえて考えてくれました。メールなどの頻繁なやり取りで時間がかかり、最初は1部屋しか建たなかったんですが、先のことまできちっと視野に入れてくれたので、それがとてもよかったんだと思います」
「また、親父が駐車場の石垣を積んだり、とてもいい土を入れたり、いろいろ力になってくれました。そんな一連の経緯があるので、この場所には僕自身の様々な思いがこもっています」
この安らぎに満ちた空気感の背景には、携わった様々な人々の「心」があるのだ。
それは一朝一夕に醸し出されるものではない。
「先程もお話したように木々の成長もあって、いい感じになってきたと思います。もちろんまだまだ進化しなければいけない部分は多々ありますが、今後もこのナチュラルな空間で、お客様にくつろぎや癒しをご提供していきます」
淡々と語るオーナーだが、その言葉は力強かった。

漁師さんから直接仕入れる海の幸を
存分にお楽しみいただきたい

続いて食に関するお話をうかがった。
海に囲まれたオーベルジュだけに、やはりお聞きしたいのは魚である。
「魚は基本的に漁師さんから直接買っています。発想としては、魚のジビエという感じでしょうか?」
それは面白い考え方ですね。
「はい。ジビエと言えば、野生の鳥獣のことですが、それは魚でも同じだと思うんです。漁師さんが自らとったお魚を『ジビエ』という感覚で買う。そうすることで、喜んでいただける面もあるんじゃないでしょうか」
「そういう関係の中で、ちょっと傷があるだけで市場には出せないというお魚を安く譲ってもらえるような楽しみも生まれてきます」
天然物がメインというのは理想的ですが、苦労なさる面もありませんか?
「もちろん、どうしても漁師さんの所だけではそろわない場合もあります。そういう時は、地元の漁協が養殖している物を使います。タイ、ブリ、ヒラス、シマアジ、ヒラメ……、漁師さんがやっていますから、質は確かです。これも立派な地産地消だと思います」
「また、天然の魚は餌の食べ具合などによって、どうしてもコンディションに違いが出がちです。ですが、そういうところが逆に季節感となるのではないでしょうか?」
「春先のフグが終わるとイサキに脂がのり、オコゼも出てきます。ウニもあります。大島の名産であるトマトもいい時期ですね。やがて9月になるとイセエビがメインとなります」
お料理をされる上で、特に意識されることはありますか?
「やはり漁師さんが一生懸命とってきた価値ある魚です。ですから、必要以上に手をかけることなく、最も美味しいタイミングでお客様にお出しするようにしています」
「いわゆる『テクニック』に走るのではなく、あくまでもシンプルでナチュラル、召し上がっていただいた時に、どこかほっとするようなお皿を作っています」
「料理は『引き算』が難しいんです。つい、あれもこれもとなってしまうんですね……」
確かに、シンプルというのは最も難しいのかもしれない。
「味に関して言えば、シンプルに塩だけというのが理想なのかもしれません。そういう点で言うと、大島は恵まれているんです」
と、言いますと?
「崎戸という地区に製塩所があって食塩を作っています。国内でも有数の産地なんです。うちもその塩を使っているのですが、同じ海からとれた魚と塩ですから、おそらくベストマッチングだと思います」
「その辺りの海水の成分は複雑で、要はいろいろなものが含まれているため、旨みや味わいが深いそうです。美味しい物を食べている魚は、やはり味がいいんです。たとえば崎戸のタコはイセエビを食べていることもあるので、かなりの美味しさですよ」
お話を聞くにつれ、大島という地の豊かさが伝わってくる。
「こういう恵まれた環境の中でやってきて、ここ3、4年でしょうか、こうすれば喜んでいただけるのかな、というものが少しは見えてきたのは……」
「いろいろな魚を買うと、やはり漁師さんは喜んでくれます。そして、それをお出ししたお客様にまた喜んでいただく。そうやって皆さんに喜んでもらえることこそが、僕自身の最高のやりがいとなっているんです」
「お客様、漁師さん、スタッフ、そして家族……。いろいろな方々に感謝の気持ちで一杯です」
オーナーの謙虚な姿勢に、心打たれた。

別荘感覚でおくつろぎいただきたいと思います

最後に、中村オーナーのいろいろな思いをお聞きした。
「大島は特に何があるという土地ではありません。ですが、かつて東京で生活した経験があるので、そういった何もない所のよさがはっきりと感じられるんです」
「地元で暮らしていると、当然のように思えてしまうさりげない自然のよさ。それは都会から来られた方にはとても素敵に見えるのではないでしょうか?」
「そういうものをお客様に感じていただき、くつろぎや癒しをご提供することでおもてなしの形になっているのかな、と思います」
お話をうかがった2013年、「オーベルジュあかだま」は開業から10年の節目を迎えられた。
今後はどのような展開を考えていらっしゃるのだろうか?
「これくらいの規模でお客様とお話をしながら、というスタイルがうちには1番合っているんじゃないでしょうか。ですから、今のスタンスでやっていけばいいのかな、と思います」
「僕自身としては、いろいろな宿を見させていただいたりお話を聞いたりして、これからも勉強をしていきたいです。特に高いレベルを体感するのは大切ですね。もちろんそれをそのまま取り入れることはできませんが、そのエッセンスをあかだまのスタイルに生かしていければいいと思うんです」
「そういう風に考えていけば、また次のステップに進む目標のようなものが見えてくるでしょう」
まだこれからも「あかだま」はどんどん進化していくんですね。
「親がやっていた『あかだま食堂』から数えると僕は3代目ですが、オーベルジュのオーナーとしては1代目です。僕の後がどのようになるのかは分かりませんが、やはり続いて欲しいですね。とにかくやりがいがある素敵な仕事だと思いますから……」
「食堂やレストランと違ってオーベルジュは滞在時間が長いので、その分お客様とのかかわりが深くなります。カップルで来られていた方が結婚してお子様ができたら、今度は親子でおみえになるというのも珍しくありません。言わば時代を共有するような感じですね」
人と人との温かな触れ合い。
「あかだま」にはそんな空気感があふれている。
「今はデジタルの時代ですが、結局最後はアナログなんですね。お客様と共鳴できる思いを僕がいかにして伝えていけるかっていうのが重要ではないでしょうか」
オーナーの最後の言葉に、「あかだま」の魅力が集約されているような気がした。
緑の木立に囲まれてひっそりとたたずむ「オーベルジュ あかだま」。
そこには、訪れる者をそっと包んでくれる優しい時間が流れている。
大切な人にだけ教えたくなる、そんなとっておきのオーベルジュだ。

 

食の世界

漁師さんから直接仕入れた「海のジビエ」を
たっぷりとお楽しみください。

料理

ディナーは魚料理を中心としたフレンチのコース。前菜盛り合わせに始まり、冷温の前菜、スープ、メインと新鮮な地元の素材をふんだんに使ったお皿が次々と 供される様は、まさに圧巻である。また、朝食も海の幸の入ったミネストローネや伊勢海老のスープ、そして焼魚の盛り合わせなどが一皿ずつ出される贅沢さ だ。高級な素材から地魚までバラエティに富んだ、魚好きにはたまらない内容となっている。

食材

山海の食材に恵まれた最高の食環境を生かし、大島ならではの品が使われている。魚は、地元の漁師から直接買った物を使用。文字通り、海からの直送だ。年間 を通じて様々な魚介があるが、伊勢海老、アワビ、ウニ、オコゼ、フグなどの人気が高い。また、野菜も名産品である「大島トマト」をはじめ、地元の高品質な 物がたっぷりと使われている。

お酒

ワインはフランス産を中心に、赤、白、発泡と各種置いてある。赤と白に関してはビオ・ワインをそろえており、素材の魅力を最大限に生かした料理との相性は 抜群だ。また、大島産の焼酎や長崎県産の日本酒といった地元の品もあるので、料理に合わせていろいろと楽しめるのがうれしい。

食空間

ガラス張りで開放感にあふれ、広々としたダイニングでは、緑の息吹を存分に感じながら、ゆったりと食事を楽しむことができる。周囲の木々のおかげで、夜は 落ち着いた雰囲気、朝は明るい空気感にあふれており、まさにオープンエアのような趣だ。また、食器は有田焼の窯元「しん窯青花」の製品を使用。その素朴で かわいらしい風合いも、食卓を一層充実させてくれる。

スイーツ

デセールは、アイス、ケーキ、コンポート、プリンなどが数点盛り合わせになったスタイル。料理同様に素材の魅力を最大限に生かすべく、シンプルな味となっ ている。長崎県が日本一の産地であるビワ、大島特産のトマトといった地元の素材が使われていて、最後まで土地の豊かな恵みを味わうことができる。

メニュー

朝食〜PetitDejeuner
夕食〜Dinner
  • 大島トマトのジュース

  • 牛乳とオレンジジュース

  • 海の幸のミネストローネ

  • 伊勢海老のスープ

  • 大島トマトと生ハムのサラダ

  • オムレツ

  • 焼魚の盛り合わせ

  • 自家製パン

  • 季節のフルーツ

  • コーヒーまたは紅茶

(メニューは一例につき、変更する場合がございます)

  • 前菜盛り合わせ
    カワハギと自家製カラスミのフラン
    魚のコンソメのジュレ
    鯵の生春巻き
    蒸しアワビ
    人参とサーモンのサラダ
    水イカのイカスミ和え
    地魚のトマト煮
    バーニャカウダ

  • 地魚のカルパッチョ

  • カワハギとオコゼのカルパッチョ

  • 刺身盛り合わせ
    伊勢海老
    アワビ
    サザエ
    殻付生ウニ

  • 野菜の軽い煮込み

  • 大島トマトのガスパチョとサザエのブルゴーニュ風

  • タイとヤズゴの塩釜焼き

  • 水イカとヒラメ、伊勢海老のソテー 4種のソースで

  • 長崎和牛ヒレ肉のステーキ

  • 自家製パン

  • 本日のデザート

  • コーヒーまたは紅茶

(メニューは一例につき、変更する場合がございます)

 

アルバム

前菜盛り合わせ

前菜盛り合わせ

自家製パン

自家製パン

カワハギとオコゼのカルパッチョ

カワハギとオコゼのカルパッチョ

伊勢エビのスープ

伊勢エビのスープ

百合岳公園からの眺望

百合岳公園からの眺望

大島トマトのガスパチョ

大島トマトのガスパチョ

海の幸のミネストローネ

海の幸のミネストローネ

野菜の軽い煮込み

野菜の軽い煮込み

魚の塩釜焼き

魚の塩釜焼き

お部屋

お部屋

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