雄ウインタースポーツに登山、トレッキング。白馬は世代を超えて多くの人に愛され続けている、我が国を代表するリゾート地だ。この自然豊かな地に、顧問を務めるフランス人シェフが「本国でもミシュランの星が狙える」と絶賛したオーベルジュがある。「レストラン&ホテル トロイメライ」だ。「トロイメライ」とはドイツ語で「夢」の意。木立の中に凛とそびえる瀟洒な洋館が見えた瞬間から、夢の一時が始まる。

 

インタビュー

女性の美しさを引き立てる照明のレストランで、ハレの日のお食事を心ゆくまでお楽しみください
オーナー

西野亮氏に聞く

オーナー 西野亮氏:

1954年生まれ。1981年、「レストラン&ホテル トロイメライ」を開業する。フランスに渡り、ワイナリーやレストランをめぐり帰国。独自の方法でシェフやソムリエを育ててきた。著書に「坂井シェフのワイン きょうは、何を飲もうか」(主婦と生活社)、「日本酒案内」(小学館)などがある。日本のモルトウィスキーの第一人者土屋守氏とは、一緒にスコットランドの全蒸留所のテイスティングを行ったり、スコットランドに渡り蒸留所を巡ったりした旧知の仲。食はもちろん、酒全般への造詣が深い。

本場フランス直送の高級素材と地元信州の豊かな恵みをふんだんに使った絶品フレンチで、長年に渡り多くのお客様を魅了し続けてきている「レストラン&ホテル トロイメライ」。あたかもヨーロッパにいるかのような気分に浸れるこの魅力的な空間をプロデュースしたオーナーの西野亮氏に、いろいろとお話をおうかがいした

 

「食」はホテルにとって一大イベントです

 

インタビューは木立に囲まれたテラスで行われた。吹き抜けるさわやかな風に小鳥のさえずり。深く息を吸うと、身体全体が一瞬にしてリフレッシュするかの感がある。「そうですね。でもそれだけではないんですよ」と、いいますと?「詳しい方によりますと、ここは『気』の流れもいい、いわゆる『パワースポット』だそうです」「そういう『癒し』の場で心身ともに寛ぎ、リラックスされている状態で最高の食事を召し上がって頂く、これこそがリゾートの真骨頂ではないかと思うのです」「もう1つのポイントは『水』ですね。水は美味しい料理の必須条件であるのは言うまでもありません。白馬は伏流水の村で、水には本当に恵まれています。私はよく『湧水の村、白馬』と言うんですよ」空気と水が、開業にあたって白馬を選ばれた決め手ということですね。

「もちろんそれだけではありません。東京、名古屋、大阪という大都市圏からのアクセスがいい地でありながら、それがまったく感じられないさわやかな空気感に包まれているのも大きな魅力です」
「また、周辺には名だたるゲレンデがあり、特にスノーリゾートにはうってつけの地です。ですが、冬以外の季節にはまた別の味わいがあり、まさに1年を通じて大自然を満喫できる、最高のロケーションと言えるでしょう」
冬期に運行される、各ゲレンデへのシャトルバスの停留所は目の前。
昼は好きなゲレンデで滑り、夜は最高のフレンチとワインを頂く。
これはもうヨーロッパのリゾート地ではないか!
「その通りです。国内にいながら、あたかもヨーロッパ旅行をされているかのような非日常感を味わって頂きたい、そういった思いで開業したのです」

トロイメライの開業は1981年。フレンチやオーベルジュを巡る環境は、現在とは比較にならない時代だ。「そう、当時の主流はペンションでした。何せ『ペンション』と名乗っていないと、銀行が融資に二の足を踏むような時代だったのです(笑)」「私も最初はペンションで下働きをして、いろいろなことを覚えていきました。そういう中で感じたのは、10年後にどれだけの施設が残っているのだろう、ということです」「もちろんきちんとした料理を提供する所もありましたが、中には首をひねらざるを得ないような施設も……というように、まさに玉石混淆でした」正直なところ、当時は確かにそういう状況も見受けられた。「ですが、お客様からお金を頂戴する以上、美味しい物をお出ししなければいけないのは当然の話です。そこでせっかく開業するのであれば、大切な人と過ごす大事な日、つまり『ハレの日』を過ごすのにふさわしいレストランにしようと思いました」

「ということになると、料理はやはりフレンチです。当時イタリアンはパスタやピザといった、カジュアルなイメージが強かったので……」
「さらに、宿泊施設もあれば、より寛いで食事をお楽しみ頂けるのではないかと考え、オーベルジュのスタイルにたどりつきました」
ワインも大変充実していますが、これも開業当時からですか?
「はい。やはりハレの日の食事でフレンチということになれば、ワインは欠かせません。大切な日を演出する物としては、普段はあまり親しみのないぐらいでちょうどいいのではないでしょうか」
「ただ、確かにワインを飲まれる方が少ない時代でしたから、慣れていないお客様でも抵抗なく楽しんで頂けるタイプの物から始め、少しずつ広げていったのです」
こうして誕生した「レストラン&ホテル トロイメライ」。
以後多くのお客様に忘れ得ぬ「非日常空間」を提供し続けてきた。
まだ「オーベルジュ」という言葉自体がほとんど知られていなかった時代に、一歩も二歩も先を見ていた西野オーナーの慧眼に、ただ恐れ入るのみであった。

 

施設のどこで写真を撮っても「ヨーロッパかな」と思える空間を作りたいと思いました

「非日常感」をテーマとした西野オーナー。その思いは、ドイツの木組みの家を思わせる建物にもよく表れている。「せっかくのハレのお料理とワインですから、建物もそれに見合ったものにしたいと考えました。何を参考にしようか……と悩んだのですが、その時思いついたのが、学生時代を過ごした神戸の異人館です」「ただ、変な言い方ですが最初はなぜ異人館がそれらしく見えるのかが分かりませんでした。ですが、何度も足を運ぶうちにはたと気づきました。2階の位置が高いのです。その結果、中に入った時に空間がとても豊かに感じられるのではないか、と思いました」「実際にそのようにしてみたら吹き抜けの高さが上がり、上の方に贅沢な空間ができました。階段の段数は当然増えてしまいますが、ゆったりと回りながら下りてくることで、普段とは異なる感覚になることができるのです」確かに建物の中に入った瞬間に感じるのは、空間の高さだ。サグラダ・ファミリア、シュテファン大聖堂……。ふとヨーロッパの教会や聖堂を思い出す。「工夫したのは内部だけではありません」

「たとえばこの建物は道路から見ると、とても奥にあるように感じられます。ところが実際歩いてみるとそうでもありません。秘密は『高さ』です」
「まず、かわいいデザインでありながら、意外に高さがあります。また、土地に傾斜があってそのままですと建物の方が低く見えます。そこで少しかさを上げることで、道路からもほぼ同じ位置に見えるようにしてあります。こうすると、奥行きが出るんですね」
建物へのこだわりはそれだけではなかった。
「建物にも流行があります。たとえばペンションであればウッディな感じがもてはやされたり、ピンクやブルーといったカラフルさに走ったりした時期がありました」
「しかし、私は流行に乗るのは危険だと思ったのです。建物はそう頻繁に塗り直しをするわけにはいきませんから」
「そこで考えたのは、たとえ新築であっても、昔からずっとあったかのような建物にしたいな、ということです。それには、流行に左右されないクラシカルな外観が向いています」
「また、道路に対してもあえて平行にしませんでした。少しゆがみがあった方が、建物の方が先にあったような感じになるからです。これは、ヨーロッパの街並みを思い出して頂くのが分かりやすいかもしれませんね」
こうした細部にわたる配慮が、訪れる者に絶えず感動を与えてくれるのであろう。

 

 

ここで西野オーナーは、度肝を抜くような話をさらりとしてくれた。
「開業の頃、資金がそれほどありませんでしたから、デザイナーや設計士を雇うわけにはいきません。ですから、図面は全部私が引きました」
えっ、ご自身で……。建築がご専門だったんでしょうか?
「いえいえ(笑)。普通のサラリーマンの家庭に育ちましたよ」
「転機となったのは、大学で演劇部に入ったことでしょうか。私はずっと引っ込み思案で、『これではいけない』と思い、大学生になった時に演劇部を選んだのです」
「ですが、高校から活動してきた仲間にかなうはずがありません。役などつかないのです。いきおい裏方の仕事がメインとなりました。そこで『このようにしたらどう見えるのか』というようなことを学んだのです。その経験が生きたのかもしれませんね」
軽妙洒脱なトークを繰り広げる西野オーナー。
しかし、その裏には若かりし頃の己との闘いがあったのだろう。
そういう思いの集大成が、この素敵な空間なのだ。

 

 

 

「師の言葉」により、さらなる進化をとげることができました

このように、まさに「白馬のヨーロッパ」とも言える「トロイメライ」。そのこだわりの象徴とも言えるのが、ふんだんに使われるフランス産食材であろう。「開業にあたり、『食』に特化しようというのが大前提でした」「ただ、それをいかにお客様に伝えるかが問題です。いろいろ悩みましたが、最も分かりやすいのは『食材』ではないか、という結論に至りました」「『私どもはこういう食材を使っております』ということを明確にすれば、それは何よりの判断基準になるでしょう」なるほど、確かに使用する食材というのは客観的事実だから分かりやすい。ただ前面に出す以上、それなりの物を使わなければならないですよね。「もちろんです。そこで私はフランスから最上品を取り寄せることにしました」「シャラン種の鴨やブレスの鶏、フォワグラはもちろん、茸類から果実、塩からパンといった物まで、高品質のフランス産にしたのです」ですが……。西野オーナーがちょっと言葉を切った。

「そのようにしてやっていたところに、重大な転機が訪れたのです」
一体何があったのだろう?

 

「南仏・ラングドックで1つ星をとっているホテルレストラン『シャントワゾー』のオーナー・グランシェフ、パトリック・パージェスとの出会いです。2005年のことでした」「ある方に紹介して頂いたのですが、すぐに意気投合して一緒に食事や温泉に行くほどの仲になりました。『ミスターパージェス』って呼ぶと怒るんですよ。『パトリックと呼べ』ってね(笑)」「一方で、私どものために何十種類もの新作メニューの提案や調理もして頂き、シェフをはじめとしてスタッフ一同まさにフランス料理の神髄を教えて頂いたのです」「まさに師とも言えるパージェスが帰国間際に、『亮、お前はフランスの食材をここまでそろえて、本当によくやっている。だけどな、フランス料理にはさらに重要な役割があるんだ』とおっしゃったのです」「彼によるとそれは『地元食材の発掘と発展』でした。主な食材のほとんどをフランス産に求めていた私どもの姿勢を評価しつつも、あえて苦言を呈してくださったんですね」地元食材の発掘と発展。

それはまさに「地産地消」の礎とも言える思想と言えよう。
「それから私も方針を少し修正して、フランス産を主軸としながら、地元信州の高品質で豊かな食材も取り入れ、両者の融合を図るようにしました」
「また、敷地内で野菜を作っているのですが、これもパージェスの言葉がきっかけになりました」
「最後にパージェスは『亮、悲しいがフランスのガストロノミーは地に落ちた。美食文化はがたがたになってしまったんだ。でも日本はまだ大丈夫。特にここはいいな』って言いながら帰っていきました」
現在では地元の熱心な生産者との交流も深まり、その仲間はどんどん広がっているとのこと。
「素晴らしい人間にはね、同じ志を持つ仲間がいるものなんですよ」
西野オーナーはさらっとおっしゃったが、人間関係の核心を突く一言に深い感銘を受けた。

 

「邯鄲の夢」「一炊の夢」「華胥の夢」……。
「夢」という語にはどこか「はかなさ」が漂う。
しかし、「レストラン&ホテル トロイメライ」の「夢」は違う。
白馬・みそら野の木立の中、いつでも私達を優しく出迎えてくれる温かな空間だ。
フランスと白馬が1つになり、さらなる高みを目指して進化を続ける感動を求めて、今日も多くのお客様が夢路をたどっていく。

 

食の世界

いつもより少しおしゃれをなさって、レストランにお越しください

料理

ミシュラン1つ星グラン・シェフであるパトリック・パージェス氏が調理とワインの特別顧問を務めているだけに、フランス料理のエスプリにあふれたディナーが提供される。コースはグランドメニューと季節のメニューの2種類。4種類のオードブルと2種類のデザートはシェフのお任せで日がわり、お魚料理は2種類、お肉料理は3種類の中から選ぶことができる。パージェス氏をして、「フランスにあれば星を狙える」と言わしめた最高の味を、極上のワインとともに心ゆくまで堪能したい。

食材

シャラン種鴨やブレス鶏、フォアグラをはじめ、トリュフ、セップ茸、果実、ゲランド地方の塩、パン、デニッシュなどは、いずれもフランス産を使用。また、オマール海老は空輸による身痩せを防ぐために、活きたままの物を冬眠空輸するというこだわりだ。一方で魚は、静岡や富山から確かな品質の天然物を取り寄せている。また、地元漁師から直接買い付ける鹿や猪、長野県認定の信州プレミアム和牛、信頼のおける地元農家や自家栽培畑の無農薬ビオ野菜など、信州の恵みもふんだんに使われている。

お酒

ワインはすべてフランス産。中でも、食事に合うブルゴーニュ産のシャルドネ、ピノ・ノワールが中心となっている。地下に本格カーブがあるため、管理状態も最高だ。ワインや日本酒に関する著書もある西野オーナーが、その豊富な人脈を生かして選び抜いているだけに、品揃えは圧巻。ここでしか飲めないような貴重な物も数多い。そういった逸品であっても、良心的な価格で提供して頂けるのがワイン好きにはたまらない。

食空間

華やかな彩りのダイニングは、テーブル間が広くてゆったりと食事を楽しむことができる。ドレスコードは特にないが、この雰囲気に合うように、いつもよりもおしゃれをしてみたい。グラスやカトラリーといった直接手や口に触れる物は、ウエッジウッド、クリストフル、バカラ、リーデル、ツヴィーゼといった極上品が使われている。また、隣接するウェイティング・バーは、西野オーナー自らがデザインした重厚なマホガニーの棚が落ち着いた雰囲気を醸し出す大人の空間。ディナーの余韻をぜひともじっくり味わいたい。

スイーツ

果物の恵みにあふれた土地だけに、季節感の強いものが主となっている。2皿出されるが、素材の味を生かした繊細な味となっているので、フルコースの後でもすんなりと食べられる。また、ウェルカムドリンクとともに出していただくケーキも大好評だ。

メニュー

朝食〜PetitDejeuner
  • ジュース

  • クロワッサン、デニッシュ、フランスパン

  • 季節のフルーツ

  • コーヒーとミルク

(メニューは一例につき、変更する場合がございます)

夕食〜Dinner
  • パテ ド カンパーニュ

  • 自家製鴨の生ハム

  • サーモンの燻製の香り
    グレープフルーツのサラダ

  • フォアグラのパートフィロ包み
    フランス産ホワイトアスパラガス添え

  • 活けオマール海老のポワレとその新鮮なみそのグラティネ トロイメライ風

  • ウズラと茄子のオーブン焼き
    シェリー酒ヴィネガーのソース

  • お一皿目の小さなデザート

  • ココナッツとアーモンドのブランマンジェ

  • エスプレッソコーヒー

  • 小菓子

(メニューは一例につき、変更する場合がございます)

 

アルバム

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