温泉やスノーリゾートで全国に名を馳せている越後湯沢。上越新幹線を使えば東京から1時間あまりで行ける利便性もあり、幅広い世代に根強い人気を誇っている。その玄関である越後湯沢駅前という絶好の場所に建つのが「越後湯沢 HATAGO井仙」だ。オーナーの井口智裕氏が、現代における理想の旅館のあり方を追究し、長年続いていた施設を大幅リニューアル。ホテルの便利さと温泉旅館のくつろぎが1つになった至高の空間として、多くのお客様に感動を与えている。

 

インタビュー

重地域で1番の物をお出しすることが、私達の使命だと思ってます
オーナー

井口智裕氏に聞く

オーナー 井口智裕氏:
1973年生まれ。(株)いせん代表取締役。2005年に「湯沢ビューホテルいせん」を、21世紀の旅籠を目指し、「越後湯沢 HATAGO井仙」にリニューアルする。

料理長 桑名宣晃氏:

東京の割烹で修行後、新潟の旅館の料理長として勤務。2009年に「越後湯沢 HATAGO井仙」料理長に就任。

首都圏からの抜群のアクセスを誇りながら、今なお伝統ある湯治場の味わい深い雰囲気を色濃く残す越後湯沢。その趣ある土地で、歴史ある宿が新たなコンセプトの元に生まれ変わったのが「越後湯沢 HATAGO井仙」だ。オーナーの井口智裕氏に、リニューアルの経緯や、魚沼の魅力についてお話をうかがった。

旅館の原点を追求し、「旅籠」にたどりつく

まずは伝統ある宿を、今のスタイルに変えられた背景についてお聞きした。「父が先代のオーナーでしたから、いずれ自分が後を継ぐことになると思っていました。そこで大学に進む際、うんと遠くの世界を見たいと考え、アメリカに渡って経営学を修めました」「そして卒業後帰国したのですが、久しぶりに我が家を見て、ある種のカルチャーショックを受けたのです」カルチャーショック?「はい、そこにあったのは、昔ながらのスタイルにとらわれた、古い温泉旅館でした」どのような点が気になったのでしょう?「温泉旅館というのは古くからのしきたりがあって、それがお客様には分かりづらい印象を与えてしまいがちです。たとえば料金体系やサービスの提供などですね。ですから、どうしても敬遠される方が増えてしまったのです」「残念な話ですが、旅慣れた人ほど自由のきくビジネスホテルに泊まり、食事は街の中にある美味しいお店で済ませる、それが現実でした」「一方で温泉旅館に対して大きなあこがれを持って頂けるお客様もいます。それは、泊まったことがない方です。『いつか温泉旅館に』という願望を持たれているんですね。ところが……」オーナーが顔を曇らせる。

 

「そのあこがれの温泉旅館に泊まってみたらどうでしょう。露天風呂がついて、食事も頂ける部屋で仲居さんにサービスされて……というイメージがあるわけですが、全部がそうなっているわけではありません。往々にして期待と実態がそぐわないのです」「そうなると、『何だ、こんなものか』となってしまい、もう温泉旅館を選んで頂けなくなります」残念ながら、確かにそういう傾向はあるかもしれない。「こうした事実を前に、私達温泉旅館の強みは何だろう、と考えました。その時、もっとゼロベースで思考を展開しなければいけないのではないか、という思いに至ったのです」「お客様のニーズや旅のスタイルは多様化しています。それに合った柔軟なサービスを提供できる宿とはどのようなものなのか? ポイントはそこに集約されました。そして……」オーナーの言葉に力が入った。「旅館の原点である『旅籠』、その進化形を作ることができないか、という結論に達したのです」

 

食というのは簡単そうで、実は大変重要なテーマです

農家の方々とのつながりを大切にされているそうですね。「地方の宿泊施設は、農家さんをはじめとする生産者と距離が非常に近いのが魅力の1つです。農家の方々と、緊密なコミュニケーションがとれるのです」「そういう関係の中で、たとえば、間引きの時に出た青いトマトは漬け物にすると美味しいということを教えて頂けます。そのような、市場に出ない野菜をどのようにしたら美味しく食べられるかを、調理人もいっしょになって考えていくことが大切です」やはり生産者の方々との交流が重要なのだと痛感する。ところが、話は意外な方向に展開した。「私は、飲食店と農家の方々の関係は、イコールでなければならないと思います。そして前提となるのは、農家の皆さんが安心して生活していける価格で野菜を仕入れることです。その信頼関係なしに、真の地産地消はあり得ないのではないでしょうか」

しかし、それではあまりに買い取り側の負担が大きい気がしますが……。
「そこで私達は3軒の旅館で出資して、『雪国文化研究所』という会社を作り、共同で農家の方々と話し合うようにしたのです。たとえば、私の所1軒で何かを作ってくれとお願いしても、やはり仕入れられる数に制約があるので現実的ではありません」
「ところが3軒共同で、となれば話は別です。さらに『今度こういうメニューを作るから、それに合わせた野菜を』というように発展もしていきます。こうしたやりとりを通じて信頼関係が築かれ、先にお話したようなコミュニケーションが醸成されるのです」
「このような動きがもっと波及すれば、さらに多くの農家さんを支えることができます。旬の物が、地元で安定して消費される仕組み。それが理想の形態と言えるでしょう」
井口オーナーの目は、自分の旅館の経営という枠を遥かに超えたところを見ていたのだ。

「現実としては、全ての農家さんを救うことはできないかもしれません。しかし、前向きに頑張っている方だけでもどうにかならないか。農業振興は地域の自然や風景を守り、産業を作ることにもつながります。それだけ大きなテーマと言えるでしょう」
その視野の広さに、ただ言葉を失うのみであった。

 

 

 

食の世界

6000年の歴史を大切にしていきたい

最後に魚沼という土地の魅力に関してお聞きした。「まず私は、雪国のスタートは冬だと思います」冬? イメージ的には春のような気がしますが。「冬の間、山々には雪が積もります。春になるとそれがとけて水になり、田畑を潤すのです。夏になれば野菜を実らせ、秋には川を流れて海に下り、それがまた雪となっていきます。こうした、いわば1つのストーリーが、冬から始まるというわけです」「雪の力はそれだけではありません。水田がきれいなのも、やはり雪のおかげです」どういうことでしょう?

「1年のうち7ヶ月は雪に覆われているわけですから、雪国での稲作は本当に大変です。コストもかかります。しかし、見方を変えればそれだけの長期間、土がゆっくりと寝かせられているということです」
「さらに、雪によってカバーされることにより、土が冷凍貯蔵されるような状態になります。舞い降りてくる不純物からも守られますし、雑菌も繁殖しにくいのです」
「川も同じです。雪どけ水がさっと入って、川を洗浄してくれます。新鮮な水が一気に流れますから、魚もリフレッシュするんですね。流れがよどんでいたら、こうはいきません」
「ですから、やはり雪があるおかげで食がきれいになるのだと言えるでしょう」
雪にそのような働きがあるとは意外だった。蒙を啓かれるとは、まさにこのことである。

山の恵みである山菜も奥が深そうだ。
「雪国の春は本当に一瞬です。ないと言ってもいいぐらいでしょう。雪がとけて山に見えなくなったな、と思ったら、一気に山菜が芽吹いてもう夏の空気になります」
「冬の間、じっと寒さを耐えていた山菜が、雪どけを待つかのようにさっと芽吹くんです。ここが美味しさのポイントです。一気に芽吹くため、とても柔らかいんです」
どのような山菜があるのでしょう?
「特徴的なのは、この辺りで『木の芽』と呼ばれている物ですね。これはあけびの芽なんですが、普通は固くて食べられません。ところが、この辺の物はとても柔らかくて美味しいのです」
「やはり冬の間にじっくりと力をため、それが一気に開くダイナミズムのようなものがある。これがとても大切なのだと思います。一瞬のうちに初夏から夏に変わる、あっという間に一面の緑になっていくんですね。その様子はもう、言葉では表現できないほどです」

 

「ここが本当に住みやすい場所だというのは、歴史も証明しています」
歴史……どういうことでしょうか?
「この辺り一帯からは、縄文式土器が多数発掘されています。つまり、縄文人の集落があったということです。今からおよそ6000年も前に、すでに文化があったのです。そして重要なのは、今現在もここに我々が住んでいるということです。6000年間変わらずに人の暮らしが持続している所は、そうあるものではないでしょう」
「他の地域の方から見ると、雪国の生活は大変そうに感じられるかもしれません。たしかにそういう面はありますが、もっと長い時間軸で比べたら、この土地がいかに住むのに適しているかが分かるはずです。冬になれば雪に閉ざされる場所なのに、6000年もの長きに渡って人はここに住んできたのですから。それだけに……」
ふと言葉が止まった。
「それだけに、次代を担う若者がいつまでもこの地に住みたいと思うように、よりよい環境を作っていかなければならないと思うのです」

 

雪国の生活というと、ただ大変そうなイメージだけを抱きがちだ。
しかし、それは完全な思い違いであることを、井口オーナーに教えて頂いた。
生命の源となる雪と6000年の歴史。
「越後湯沢 HATAGO井仙」はそういった財産を守りながら、これから何代にも渡り旅人に安らぎを与えてくれることであろう。

 

 

 

目の前の素材をしっかり見つめ、必要以上に手を入れないようにする

料理

夕食は、地元魚沼の食材が中心のコース料理となっている。雪室で貯蔵された野菜、きれいな地下水で育てられた鱒といった雪国ならではの素材そのものの味を存分に生かしつつ、意外な組み合わせや工夫のきいたソースといった料理長のセンスと技が冴えわたる「魚沼キュイジーヌ」は、忘れ得ぬ深い感動を与えてくれる。魚沼の豊かな恵みと、生産者の方々の熱い思いが凝縮した料理の数々に、心ゆくまで酔いしれたい。

食材

米所新潟。魚沼のコシヒカリは全国にその名をとどろかせているが、HATAGO井仙で使用しているのは、中でもさらに美味しいと評判の塩沢地区、契約農家で作られた減農薬という徹底ぶり。しかも、それを昔ながらの釜で炊き上げるという贅沢さだ。また、大豆・麹・塩、材料全てが県内産という正真正銘の新潟県産味噌、砂糖やアルコールを一切添加しない昔ながらの製法による醤油と、こだわりはお米だけにとどまらない。野菜も地元の農家を全面的に支援しながら共同で作っていくなど、真の意味での地産地消に粉骨砕身している。

お酒

新潟と言えば日本酒。HATAGO井仙では、地元越後湯沢や隣接する南魚沼市の蔵を中心に、県内各地の銘酒がずらりとそろっている。迷っても酒師や日本酒に通じたスタッフに相談できるので安心。特におすすめなのは、「鶴齢」の青木酒造とHATAGO井仙のコラボレートで生まれたオリジナルの「宿酒仙七」だ。年間800本しか造られない無濾過生原酒で、その豊かな香りと深い味わいは日本酒好きをうならせることだろう。また、料理によく合うオーガニックワインも各種用意されている。

食空間

HATAGO井仙内のレストラン「魚沼キュイジーヌ料理 むらんごっつぉ」は落ち着いたたたずまいで、ゆったりとお料理を楽しめる。席もカウンター、テーブル、座敷とあり、様々なシーンによって使い分けができるのがうれしい。オープンキッチンになっているため、厨房と客席が一体となった温もりを味わえる。朝食は同じく「むらんごっつぉ」での和食、カフェスペース「水屋」での洋食の他、「おめざめ御膳」というルームサービスもある。温泉に入ってから、部屋でゆっくりと朝食を頂くのは究極の贅沢時間だ

スイーツ

魚沼産コシヒカリの米粉や地元の卵、その時々に旬を迎えた果物などを使ったスイーツは、専属のパティシエにより工房で作られる。もちろん1つひとつ手作りで「パティシエプレート」として供され、コース料理の最後を華やかにしめくくってくれる。また、併設のショップ「んまや」では、1日24本限定の米粉のロールケーキ「湯澤るうろ」、HATAGO井仙の温泉水で蒸した「温泉プリン」、オリジナル酒「宿酒仙七」で作った「生原酒ジュレ」といったスイーツをお土産として買うこともできる。

メニュー

朝食〜PetitDejeuner
夕食〜Dinner
  • スキー伝来100周年
    レルヒさんも食べたスキー汁

  • 温泉玉子

  • 魚沼の郷土料理 のっぺ煮
    里芋、人参、こんにゃく、ゴボウ、とと豆、越の鶏、車麩

  • むらんごっつぉの手作りの納豆

  • 山うどのきゃら煮

  • 季節の焼き魚

  • 魚沼産コシヒカリ塩沢地区限定一等米

  • 自家製のお漬物盛り合わせ

  • 手作り津南牛乳ヨーグルト
    蜂蜜 玄米ぽん菓子

(メニューは一例につき、変更する場合がございます)

  • 甘酒寄せ、大崎菜の麹和え、日本海天然鮮魚の玄米飯蒸し、タラの芽のフリット、季節のピクルス

  • 魚沼雪中野菜のスープ

  • 季節の日本海天然鮮魚 煎り酒造り

  • 竹の子豆腐

  • 魚沼の山のサラダと里の肉

  • 雪室野菜と魚沼サーモンのテリーヌ

  • 魚沼山菜粥

  • パティシエプレート

  • コーヒーまたは紅茶

(メニューは一例につき、変更する場合がございます)

 

アルバム

魚沼サーモン 山野菜オイル焼き

魚沼サーモン 山野菜オイル焼き

魚沼山菜粥

魚沼山菜粥

レルヒさんも食べたスキー汁

レルヒさんも食べたスキー汁

パティシエプレート

パティシエプレート

おとりおき御膳

おとりおき御膳

玄関より帳場を望む

玄関より帳場を望む

囲炉裏

囲炉裏

風呂付の部屋

風呂付の部屋

んまや

んまや

稲刈りの風景

稲刈りの風景

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