第4回 オーベルジュの日レポート
開催日 2017.4.12
日本オーベルジュ協会が「オーベルジュの日」として定めた4月21日。毎年このオーベルジュの日の前後には、国内オーベルジュの発展を願ったイベントを実施しています。
第1回目は箱根のオーベルジュ オー・ミラドー、第2回目には京都の長楽館、第3回目は北海道真狩村のマッカリーナ、そして第4回目を迎えた今年は、開業30周年を迎えますます活気溢れる神奈川県は葉山にあります葉山ホテル音羽ノ森にて、総勢80名超の方にご参加いただき無事執り行われました。
葉山ホテル音羽ノ森は、神奈川県横須賀市葉山の高台に建っています。葉山といえば御用邸を思い浮かべる方も多いかと思いますが、葉山御用邸に面した一色海岸から下山川を渡る大浜海岸、その大浜海岸と防波堤を隔てて繋がる長者ヶ崎海岸という海岸線を目前に眺めることができる大変眺望の良いオーベルジュです。
アクセスはJR逗子駅より路面バスで20分、長者ヶ崎の岬から高台を登ります。バスを降りた途端に潮風が一行を撫でていき、海岸線を見てその美しさにほう、とため息が漏れました。その海岸線から視線を上に向けると、真っ青な日よけテントと真っ白な外壁のコントラストが美しい洋館が見えます。徒歩ではやや急な坂道を、しかしこれから始まる素敵な時間への期待に、一行の足は心なしか軽いのでした。
海岸線を臨む小高い丘の上にあります
別館の美しいエントランス
南仏の雰囲気が漂うテラスを見学
スカイチャペルの絶景、ウェルカムドリンクで乾杯!
総支配人のご案内で、ゲストの皆さまは屋外にあるスカイチャペルへ。ここは、普段は結婚式などが行われているそうです。笑顔が素敵なスタッフの方より、ウェルカムドリンクが振る舞われます。すっきりとしていて爽やかなドリンクは、自家製ハーブドリンクとのこと。この裏の山で採れるハーブを使っているんですよ、と教えてくださいました。
真っ青な空と海を目の前に、参加者の皆さまの会話も弾みます。ここで思わず記念写真をパチリ。
開放的な雰囲気で会話も弾みます
自家製ハーブのウェルカムドリンク
協会メンバーでパチリ
スカイチャペルからの素晴らしい景色を堪能した一行は、総支配人の案内で館内を巡ります。
エントラス横のレストランや客室の大きな窓からは、思う存分に海が見渡せました。
エントランス横のレストラン
総支配人によるご案内
美しい景色にため息の出る客室
その後、専用バスにて3分ほどの場所にある離れへ。本日のパーティーが開催される会場です。通常は結婚披露宴などにも利用されるという別館からももちろん、美しい海岸線を見渡すことができます。
本館から到着されたゲストの皆さまの胸元にはウェルカムフラワーが飾られ、会場は一層華やかに。
勝又理事長からの開会のご挨拶でパーティーはスタート、その後総支配人さまからは本日見られるかもしれないダイヤモンド富士についてのお話、そして、お忙しい中駆けつけてくださいました横須賀市長様からも、オーベルジュの日をお祝いするお言葉を頂戴しました。
ホールでの様子
シェフとのコミュニケーションが楽しい
勝又理事長のご挨拶でスタート
ブッフェ形式。次々と運ばれる料理
横須賀市長のご祝辞
恒例となりつつある生演奏の調べ
フランスの古典料理に音羽ノ森のエッセンスをプラス
三輪理事による乾杯の音頭で、お待ちかねのブッフェタイムがスタート!
海を背景に、田原総料理長渾身のお料理が並びます。新たなお料理が運ばれてくるたびに、ゲストからはわあっと歓声があがるのが印象的でした。
お料理の内容については一品ずつ、田原シェフが丁寧にご案内くださいましたので、その内容を一部ご紹介します。
以下、田原総料理長のコメントです。
「本日のお料理は皆様に心からリラックスして頂けるように古き良き時代をイメージしたそして懐かしさを感じて頂けるような昔ながらのフランス古典料理に音羽ノ森のエッセンスを加えたブッフェスタイルのお料理となっております。
(お料理のご案内〜一部抜粋〜)
相模湾鱸のパイ包み焼き ブールブランソース
相模湾産の鱸と帆立のムースそしてほうれん草をパイ生地で包み焼き上げたお料理です。
田舎風テリーヌ
豚肉や鶏レバーのひき肉とスパイス、お酒を良く混ぜ合わせ、マリネした後に湯煎でゆっくりと火入れしたテリーヌです。
相模湾産鯖の白ワインマリネ
相模湾産のサバを白ワインやヴィネガー、香味野菜を合わせたスープで火入れをした、さっぱりとした一皿です。
田原総料理長のお人柄を感じるお料理の数々
相模湾産鯖の白ワインマリネ
田舎風テリーヌ
相模湾鱸のパイ包み焼き ブールブランソース
サーモンベルビュ 野菜のマセドアンヌ
三浦地野菜のソテー
伊豆下田のクレソンのスープ
伊豆下田の太陽と自然豊かな大地から生まれた奇麗な水で育ったクレソンです。このクレソンとジャガイモを合わせたスープとなっております。」
冷製のお皿には鮮やかな色合いのエディブルフラワーが添えられ、初夏の色鮮やかな食材を意識した盛り付けに、古き良き伝統的なフレンチのぬくもりと春の歓びを感じたことでしょう。
色とりどりの前菜に目を奪われていると、会場内に、香ばしい香りが漂ってきました。
シェフのご案内が続きます。
「マラカッサンのロティと伊豆 鹿のパイ包み
伊豆の森を守ると書いて森守の黒田さんより自らお持ちいただいた子イノシシと鹿のお肉です。
子イノシシはお腹に詰め物をした丸焼きにそして鹿はパイ包みにしてのご提供となります。」
こんがりと焼きあがった子イノシシの丸焼きが登場すると、田原総料理長を中心とした笑顔の素敵なシェフたちが颯爽と現れ、お客様の目の前で切り分ける演出で会場を盛り上げます。柔らかな肉のおいしさを味わいながら、自然と人間との共生や地域の食財産などに想いを馳せるオーベルジュらしい時間を過ごしました。
そのほかにも、湘南ポークのローストや嘉山農園の苺を添えたイル・フロッタント、グラタン ドフィノワ、舌平目のスフレなど、相模湾で獲れた新鮮な食材を使ったお料理が所狭しと並べられ、ゲストの皆様の目と舌を楽しませていました。
ゲストの中には、森守の黒田氏の他にも伊豆下田よりクレソン農家の方が参加されており、実際にお料理として提供されている食材についての話題でゲストの方同士やオーベルジュのシェフとの間でも会話が弾んでいるようでした。
伊豆下田のクレソンのスープ
豚肉と子牛のキャベツ包み
湘南ポークのロースト(冷製)
マラカッサンのロティ
伊豆 鹿のパイ包み
嘉山農園の苺を添えたイル・フロッタントオリジナルスタイルで
フランス人シェフ クリストフ氏に聞く「本場のオーベルジュ」の魅力
お食事が進む中、次なるイベントは「シェフズトーク」。レストラン音羽ノ森のシェフで、フランス出身のクリストフ氏が地元のオーベルジュについて語ります。
笑顔がチャーミングなクリストフ氏、フランスのオーベルジュは日本ほど「高級」なイメージではなく、誰もがホッとくつろげるようなサービスと環境なのだと教えてくれました。
お客様はいつも訪れるというような常連の方が多く、オーナーシェフやスタッフとの距離も近い。つまりは、安心感のあるアットホームなおもてなしがオーベルジュの根幹にある、と。
これには、参加されているオーベルジュのオーナーも納得のご様子でした。
参加者からの質問にも丁寧に回答してくださったクリストフシェフ、本当にありがとうございました。
にこやかに始まったシェフズトーク
音羽ノ森のシェフたち
望月シェフから質問が飛び出しました
オーベルジュならではの、非日常を楽しむ社交ダンスタイム
食事も終盤に差し掛かったところで、会場の中央にスペースが作られました。
そこへ颯爽と登場したのが、社交ダンス講師の戸張先生です。きらびやかな衣装と爽やかな笑顔でゲストの視線を釘付けです。
「みなさまこんにちは!今日は、オーベルジュでの非日常を体験していただこうと、社交ダンスをご一緒しに参りました」
最初は参加をためらっていたゲストやオーベルジュ協会のメンバーも、プロのリードに合わせてジルバやブルースなどを踊り、どの方も笑顔に。
体験コーナーの後は、プロダンサーによる本格的なダンスを披露していただき、その美しさに会場の皆様が引き込まれ、しばし独特な雰囲気に酔っているようでした。
笑顔弾ける戸張講師
ゲスト参加による体験タイム
プロのダンスに、非日常感は最高潮
いつの日か、ダイヤモンド富士を
本日の非日常体験の2つ目は、ダイヤモンド富士の鑑賞。会場の海側は全面がガラス張りとなっており、水平線が一望できます。総支配人より、この水平線の向こうに富士山が、そしてその富士山の頂上に沈む太陽を見ることができるとご案内がありました。が、この日の夕刻はあいにく富士山に雲がかかり、ダイヤモンド富士を眺めることはかないませんでした。いつの日かまた、この場所で見られる日を楽しみにしつつ、終宴のご挨拶を銀座十時の十時様より頂戴し、無事御開きとなりました。
おわりに
オーベルジュ協会は2017年で発足から11年となりました。
最初は伊豆箱根エリアの5人のシェフから始まったこの会も、11年の時を経て北は北海道から南は九州までの全国のシェフやオーベルジュ関係者が仲間となり、日本国内のオーベルジュの発展にとご協力いただけるまでになっております。これもひとえに、日頃よりオーベルジュ営業にご協力いただいている皆様のおかげであります。
これらの感謝の気持ちと、オーベルジュのさらなる認知拡大のために開催されているオーベルジュの日パーティーですが、毎年地域を変えて協会会員施設にて実施されております。全国開催の意図としては、日本オーベルジュ協会が全国規模の組織であること、また、オーベルジュとはその地域ごとの魅力をいかにして体験していただくかがテーマであること、などを踏まえたもので、今後も日本各地様々な地域での実施を予定しております。ぜひとも、様々な地域のオーベルジュ体験を通して、オーベルジュの魅力の再確認をしていただくと共に、日本におけるオーベルジュのあり方について活発な意見交換ができるような組織にしてまいりたいと存じます。
2018年度オーベルジュの日イベントは、2017年に新規開業のあのオーベルジュにて開催予定です。