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雄大な北アルプスの麓に広がる安曇野は、日本の原風景とも言えるのどかな田園地帯。広々としたわさび農場に各種のミュージアム、ギャラリー、さらには乗馬、川下り、そば打ちと多種多様な観光スポットに恵まれ、時代を越えて万人に愛され続けている。その安曇野のほぼ中央に建つ白亜の洋館が「安曇野の小さなホテル アルムハウス」だ。オーナーシェフの浅野格氏が創り出す絶品のお皿を堪能するだけでなく、とんぼ玉やリンパケア・ヒーリングセラピーなど、様々な体験も楽しめるオーベルジュとして、根強い人気を誇っている。

インタビュー

インタビュー

カジュアルな感じでフレンチを楽しんでいただきたいと思います
オーナーシェフ

浅野格氏に聞く

オーナーシェフ 浅野格氏:

1961年、岐阜県出身。1997年4月、「安曇野の小さなホテル アルムハウス」のオーナーシェフとなる。

数多くの湧水、澄み切った清流。そしてはるばると広がる田園……。道祖神を巡ってのんびり散策をするもよし、レンタサイクルで各種施設を回るもよし。さわやかな空気に包まれた安曇野は、東京、名古屋、大阪からの各種アクセスもよく、多くの人の心をとらえて離さない。この魅力あふれる土地で、お客様に癒しの空間を提供してくれるのが「安曇野の小さなホテル アルムハウス」だ。オーナーシェフの浅野格氏に、いろいろな話をおうかがいした。

 

のんびりとした安曇野独特の雰囲気をお楽しみ下さい

 

最初に、土地の魅力についてお聞きした。「この辺りは、観光地としてはちょっと変わった面があるんですよ」笑いながら答えてくれる浅野シェフ。一体どんなところが変わっているのだろう?「普通の観光地には、何か『これ』という目玉がありますよね。でも、安曇野にはそういったものがありません」「ですが、それが逆にゆったりとした空気感を出しているように思います。現に私の所に来られるお客様も、特に何をされるというのではなく、のんびりしたいという方が多いですよ」「また、美術館や各種のギャラリーはたくさんありますから、そういった所をゆっくり回られるというお客様もいらっしゃいますね」シェフは「目玉がない」と謙遜されるが、日本一の広さを誇るわさび畑に、我が国の近代彫刻のパイオニアである荻原碌山の美術館をはじめ、見所は随所にある。ただ、それらが広大なエリアに適度に散らばっているため、人が過度に集中することがない。そのおかげで、何とも言えないゆったりとした空気感が醸し出されているのだろう。
「季節として一番いいのは……そう、4月からゴールデンウィークを挟んで、5月の中旬ぐらいですね」「山に雪が残っているのがその時期ぐらいまでなんですよ。辺りは一面の緑で、周囲の山々に雪があるのはなかなか風情のある光景です」「ゴールデンウィークを過ぎると、ちょうど田植えが始まります。すると、写真を撮られる方が結構たくさんいらっしゃいますね」確かに、何を撮っても絵になりそうな感じがする。春と秋は、特に写真を目的に来られる方が多いとのお話だった。一方で冬はどうなのだろう? 厳しそうなイメージがあるが……。「長野というと、皆さん『雪』という印象が強いので、やはりおみえになる方は減りますね。ただ、この辺りはそれほど雪は降りませんよ。雪かきも、年に1度ぐらいです」「まあ近くにスキー場があるわけではないですし、確かに寒さは厳しいですが……」冬と言えば、と浅野シェフが何かを思い出したような口ぶりをされた。「気球に乗るのが楽しいですよ」え、気球ですか?

「ええ、川原でやっているんです。年間を通じて乗れるんですが、冬がいいですね」どうしてなのでしょう?「冬は、ロープなしで上げるんです。すると、気流の関係で、自然にぐるっと一周して戻ってくるんです。その感じが何とも面白いんですね」「ただ、場合によっては着地するのが田んぼになることもあります。ですから、稲が植わっていない冬の時期でないと、ロープなしの飛行はできません」でも、寒くないんですか?「実際に乗ってみると分かるんですが、意外に風は感じません。ですから、案外寒くないんですよ」はるばると広がる田園風景の中、気球でゆらりと空中散歩とは何とも優雅な話だ。のんびりとした空気感に、ぴったりの光景が目に浮かぶようだった。

 

とんぼ玉の美しさには、本当に言葉を失います

漆喰の壁に、木の温もり感にあふれたダイニング。
そこでひときわ目を引くのが、随所に飾られている「とんぼ玉」である。
浅野シェフはとんぼ玉の作成に情熱を傾けており、作品展などにも出品されている腕の持ち主だ。
そこで、とんぼ玉についてお話をうかがった。
「とんぼ玉は『物作り』という点で、料理と通ずるところがあるかもしれません。とにかくきれいなんですよ。まるで飴細工みたいです」
「ガラスの組み合わせでいろいろな模様を出していきます。そのために、金太郎飴のようにした物をカットして貼りつけていくんですが、本当に飴細工に見えるんです」
「あれはとんぼ玉を作り始めた頃でした。途中であまりの美しさにぼうっとなって、思わず素手で触りそうになってしまったほどです(笑)。ものすごい高温ですからね。危なかったですよ」
飾られている作品の数々は、シェフのおっしゃる通り、息を飲むような美しさだ。
1つ1つがあたかも小さな宇宙のように見えてくる。
形や大きさは本当に千差万別。
そして、2つとして同じ物がないのに驚く。

「そうなんです。1度いい作品ができると、同じ物は作りたくないんですね。1回できたらもういいや、って思っちゃうんです」
「だから、展示会の時などは大変です。ある程度同じ物をいくつか作って出さなければいけないんですよ。正直なところ、つらいですね(笑)」
模様にも種類やパターンがあると聞きましたが?
「ええ。ですから、その中でどのようにオリジナリティを出していくか、ということになります。もういろいろな模様が出てきていますから、独自の物というのはなかなか大変です」
「しかも、元のガラスの色はそれほど種類がありません。そこからどのようにして自分の好みの色にもっていくのか、また模様を出していくのかがポイントです」
「まあ自分なりの物を作るのには苦労しますが、うまくいった時は本当に面白い。あの感覚を知って、ついはまりこんでしまったのかもしれません(笑)」
なお、「アルムハウス」では、実際にとんぼ玉作りを体験できる。
ダイニングの一角に工房があり、浅野シェフが丁寧に教えて下さる。
「体験をして頂くのは食後になります。マンツーマンで行う関係上、希望される方が多いとお断りせざるを得ない時もありますので、早目にお申し込み頂けたらと思います」
「あと、高温のバーナーを使った作業になりますので、お子様にはご遠慮頂いています」

この日、ディナーの後で実際にとんぼ玉を作らせて頂いた。
バーナーの光と音に緊張したが、的確な指導で無事に作品が完成した。
世界に1つの、自分だけのとんぼ玉。
これは何よりの思い出になることだろう。

 

セオリーに縛られず、自分の思いを最優先した料理を作りたい

とんぼ玉のお話の中で、浅野シェフは何度か「料理と通ずる」という言葉を口にされた。そこで最後に、オーベルジュの目玉である「料理」について聞かせて頂いた。「子どもの頃から料理には興味がありました。外で食べて、『これは美味しいな』と思ったら、自宅で作ってみたものです。たいていはうまくいきましたね」「大人になって食べ歩きをするようになってからもそうでしたが、何となく分かるんです。これとこれを入れたら、あの味になるなって」「今もそうですが、初めて作る物でも、味付けなどはだいたい1回で決まりますね。試行錯誤を重ねるというようなことはあまりありません」笑いながらさらっと語ってくれた浅野シェフ。しかし、そのようなことは誰にでもできる話ではない。まさに研ぎ澄まされた感性の成せる技だ。「あとは、そう……『遊び心』のようなものを大切にしたいですね」「素材に関しても、『これはこう使うんだ』と決めつけてしまうのは好きではありません。また、普通に売っている物を、そのままありきたりの手法で調理するのも面白くないと思うんです」

「だから、新しい食材に出会うと特にわくわくしますね。目の前にちょっと面白い物が出てくると、とにかく使ってみたくなります。農家の方も、最近はいろいろと珍しい物を作っていらっしゃいますから……。」
「もっとも、買ったはいいけれど、持ち帰ってから『これ、どうしよう?』と思うこともよくあるんですが(笑)」
そういった新しいことにチャレンジするには、何が必要だと思われますか?
「やはり『余裕』ですね。余裕がないと、どうしても遊び心が出てきません」
「また、我々の側に余裕がなくてぎすぎすしてしまうと、どうしてもその空気がお客様に伝わってしまいます。ですから、余裕を持つことは本当に重要だと思うんです」
「それを最初に実感したきっかけは、ランチです。開業当時はランチもやっていたのですが、あまりに忙しくて、身体がもちそうにありませんでした。そこで思い切ってランチは予約だけにしたら、どうでしょう? 当然売り上げは減りましたが、利益は増えたのです。我々に余裕が出たからだと思います」
他にシェフが大切にされていることは何でしょう?
「それは、型にはまらないことですね」
「たとえば、お出ししているのはフレンチですが、だからといって『こうではなければいけない』という、いわゆるセオリーのようなものは意識していません」

「堅苦しいのが好きじゃないんですね。他の人から『こうしなさい』と言われると、つい抵抗したくなるんですよ(笑)」安曇野のさわやかな風を思わせるような、温かな笑みが印象的であった。ディナーで、シェフの創る世界を存分に楽しませて頂いた。どのお皿にも「遊び心」があふれていて、わくわくし通しの一時だった。優しく大らかな空気に満ちた「安曇野の小さなホテル アルムハウス」。これからも、訪れる者の心をそっと癒し続けてくれることだろう。

食の世界

食の世界

遊び心にあふれた、ちょっとした面白さのあるお皿をお楽しみ下さい

料理

ディナーはフレンチをベースにしたコースだが、過度にフランス料理にこだわるのではなく、その時の素材の魅力を最もよく引き出すスタイルで供される。スタンダードの「シェフお任せコース」の他、肉料理とデセールをグレードアップした2種類の「特別コース」もあり、好評を博している。宿泊の都度コースを変えて、シェフの織りなす豊かな食の世界を堪能し尽くすのもいいだろう。

食材

澄んだ空気ときれいな水の産み出す地元の豊かな食材を、ふんだんに取り入れている。特に野菜や茸は、それぞれの季節の最高の物を、極めて新鮮な状態で取り寄せている。また、「特別コース」の1つである「サーロインコース」に使われるのは、わが国を代表する牛肉の1つ、「信州プレミアム牛」である。他所では味わえないその芳醇な味に、リピーターは数多い。

お酒

シェフの料理に合うワインが各種そろえられている。中でもお薦めは、地元安曇野のワイナリーや、信州リンゴを使った本格的なシードルだ。土地の食材とのマリアージュは最高である。また、「量はちょっと……」「いろいろ飲み比べたい」という方は、同じ長野県内の信濃ワイナリーのミニボトルを。赤、白、ロゼとそろっていて、お土産としても人気がある。
 

食空間

安曇野のさわやかな空気につつまれたダイニングは、光に満ちた明るい空間。京都から特別に取り寄せた漆喰の白壁、磨き抜かれた木の床が、何とも言えない落ち着きを与えている。それぞれの卓上や窓際にはかわいらしい小物や、オーナーのお父様が焼かれた陶器などがさりげなく配され、温かみのある雰囲気を醸し出している。また、オーナー自らが作った数々のとんぼ玉も、素敵な空間を演出している。なお、ペット連れで特別室に宿泊の場合は部屋食となるので、他のお客様に気兼ねなく過ごすことができる。

 

スイーツ

果実の豊富さでは、日本随一の土地である信州。もちろん地元の物がふんだんに使われるが、特にリンゴと洋梨は、決まった生産者の物を使用する徹底ぶりだ。また、ブルーベリーやレッドカラントをはじめとした自家栽培のベリー類や数種類のミント、ローズマリー、ラヴェンダーなどのハーブもふんだんに使われる。ブラックベリーのソースが使われたブランマンジェは、夏の定番スイーツとして大人気の一皿だ。

メニュー

朝食〜PetitDejeuner
  • オレンジジュースまたは安曇野産牛乳

  • オムレツ

  • サラダ、生ハム

  • フランスパン

  • 自家製ジャム(洋ナシとラヴェンダー)とバター

  • ヨーグルト

  • フルーツ

  • コーヒーまたは紅茶

(メニューは一例につき、変更する場合がございます)

夕食〜Dinner
  • 自家製生ハムとパルミジャーノレッジャーノ

  • ビーツとジャガイモの冷たいスープ

  • 真鯛のソテー ヴァンブランソース

  • ホロホロ鳥のコンフィ バルサミコソース

  • 紫米入りご飯

  • 本日のデセール

  • コーヒーまたは紅茶

(メニューは一例につき、変更する場合がございます)

アルバム

アルバム

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