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第3回 オーベルジュの日レポート

開催日 2016.4.19

日本オーベルジュ協会が「オーベルジュの日」として定めた4月21日。毎年このオーベルジュの日の前後には、国内オーベルジュの発展を願ったイベントを実施しています。
第1回目は箱根のオーベルジュ オー・ミラドー、第2回目には京都の長楽館、そして第3回目の今年は北海道真狩村のマッカリーナにて、総勢70名超の方にご参加いただき無事執り行われました。

風のレストラン マッカリーナは、北海道のオーベルジュとしては草分け的な存在。
本協会の理事でもある中道博氏が、真狩村のみなさんと協力して作り上げた本格的なオーベルジュです。
羊蹄山を望む雄大な自然に囲まれた真狩村というロケーションに、1997年に開業。
宿泊棟は4室の客室を備え、別棟のレストランの席数は62席。2008年の洞爺湖サミットでは首脳夫人の昼食会場にもなりました。

アクセスは札幌駅から車で2時間30分。4月も半ばだというのに道中では吹雪く場面もあり、北海道という土地柄を実感します。
とはいえ、すでに春の空気を察してか道沿いには立派なふきのとうが生い茂り、私たちの目を楽しませてくれました。
山を越え羊蹄山が見えてきたころ、進行方向のだいぶ先に見えてきたのは、20名はいらっしゃるであろうマッカリーナ及びラパンフーズのスタッフのみなさんによるお出迎え。
車止めからレストランに続く小道に並んだスタッフのみなさんが「いらっしゃいませ」と笑顔で声をかけてくださり、徐々にマッカリーナの世界に導かれていきます。

マッカリーナへの道

立派なふきのとうがあちこちに。

協会理事メンバーで。

魅力あふれるレストランへ!

笑顔の素敵な中道理事の案内でレストラン棟に足を踏み入れると、まず見えるのが大きな暖炉と真四角の中庭です。
まだまだ肌寒い北海道。火のくべられた暖炉はほっと落ち着く温かさで我々を迎えてくれました。
レセプションを左手に通路を進むと、左手にはガラス張りになった厨房が。
厨房内部も立ち入って見学させていただき、会員の方も興味深かげにオーブンや調理場を見回していました。

調理場を見学させていただきました。

ウェイティングスペースの暖炉

中道理事が「早く早く!」というように案内してくれたのが、地下。
レストランホールの入り口右手、ぽっかりと空いた空間にある階段を手招きされるがままに降りると、そこには無数の生ハムが吊るされていました。会員の皆様は興味深げに一本一本を見つめています。
生ハムの下を右手に進むと、雰囲気のあるワインセラーが出現。
抑えめの照明に照らされて、笑顔のシェフとドリンクスタッフがスタンバイしています。私たちの目の前には、素晴らしい香りの生ハムとフルートグラスに注がれた黄金色のドリンクが。
「ウェルカムドリンクの、金柑のミモザです」中道理事がそう言って私たちにグラスを差し出してくれます。この素敵な演出にすっかり気分が高揚してくるのを抑えきれないといった参加者のみなさんの溜め息が、セラー内のそこかしこで漏れていました。

地下への階段。生ハムが。

地下のワインセラー

ウェルカムドリンクのおもてなし。

次に案内していただいたのが、1階のホール。
ここで、勝又理事長及び中道理事から第3回オーベルジュの日開催にあたってのご挨拶、そしてマッカリーナの菅谷シェフからマッカリーナと地元食材についてのお話をしていただきました。
菅谷シェフは狩猟の資格もとられ、狩りに出かけることもあるとか。また、栽培されていなかったリーキなどの西洋野菜を地元の農家の方に作っていただくなど、開業からこれまでどのように地域の皆様とこのオーベルジュを作り上げてきたかをご紹介いただきました。

ホールでの様子

勝又理事長のご挨拶でスタート

菅谷シェフのお話

中道理事からも一言

北海道の魅力あふれるランチ

お待ちかねのランチタイムが、三輪理事による乾杯の音頭で幕を開けます。
ホールの反対側にあるレストランに案内されると、まず目に入ったのがテーブルの上に置かれた素敵なイラスト。聞けば、菅谷シェフ自らが本日のメニューを書き起こしたのだとか。前菜に始まり、スープやメインについて、使われている食材などが絵とテキストで紹介されています。これを見ているだけで期待感が高まります。
さらに参加者の目を引いたのが、レストラン側からもガラス張りになったキッチン。
マッカリーナのレストランは建物の側面を全て使った縦長の空間になっていて、横幅は4人掛けのテーブルが1台入ればいっぱいです。しかし不思議なほど圧迫感がないのは、通路側に開かれたガラス越しの調理場の様子が見られ、天井が高く、窓の外の景色がどこまでも抜けているからでしょう。
キッチン内では、たくさんのスタッフがキビキビと素晴らしい手際でお料理を仕上げていきます。このように席にいながらにして調理場の様子を拝見できるシチュエーションはなかなかないので、参加者のみなさんも興味津々といった様子で見つめていました。

菅谷シェフによるイラスト

キッチン内の様子

三輪理事による乾杯の音頭でスタート

橋本支配人の細やかかつフレンドリーなサーヴィスのもと、次々とお料理が運ばれてきます。行者にんにくや菜の花などを使った季節の前菜に続き、りっぱなアスパラのソテー、雪下で甘みを蓄えた人参のスープ、驚くほど柔らかく癖のない鹿肉のソテー、そして興味深げに味わう方が多くいたヨモギのパンナコッタ。食感を残したヨモギの風味が小豆ソースと相まって爽やかな甘みを演出し、食事のラストを締めくくります。

地元の愛好家の方によるヴァイオリンと電子ピアノの素晴らしい演奏の流れるなか、地元の農家の方や町役場の方、オーベルジュ協会の理事、会員がみなテーブルを囲み、地域ごとの特色ある食材のこと、オーベルジュのこと、この素晴らしい時間のことを和やかに語らいました。

彩り豊かな前菜

極太のアスパラガス

甘みが素晴らしい人参のポタージュ

鹿肉は濃厚なソースと

食感もたのしいヨモギのブラマンジェ

レストランの様子

地域の方による生演奏

オーベルジュと地域振興を考える「座談会」

食事の後は、オーベルジュの未来について語らう座談会を実施。参加者の方々は暖炉のあるウェイティングルームに移動します。
ウェイティングルームには、床一面に座布団がひかれていて、マッカリーナのスタッフもゲストもみなリラックスして腰を下ろし、お隣どうしで微笑み合います。
「それでは、座談会を始めます」
美瑛料理塾の齋藤壽氏による進行で、音羽レストランの音羽和紀シェフ、アラン・デュカスグループの日本法人代表ファブリス・ルノー氏、理事長勝又氏(オーベルジュ オー・ミラドー)による座談会がスタート。「フランスのオーベルジュ文化を取り入れつつ、北海道から沖縄までの日本独自の多様な文化の掘り起こしを」「生産者と共に地域起こしを行なっていくこと」など、オーベルジュによる日本の魅力発信や日本独自のオーベルジュ文化の発展について語らいました。
途中、参加者からの質問や、経営しているなかでの難しさなども話し合われ、有意義な時間となりました。

座談会は和気藹々としながらも真剣な面持ちで

登壇者の4名

(左から音羽和紀シェフ、斎藤壽氏、勝俣理事長、ファブリス・ルノー氏)

座談会終了後には、屋外にて全参加者、スタッフによる集合写真の撮影が行われました。お若いフレッシュなスタッフの方をはじめ、皆様の弾けるような笑顔が印象的でした。

今回参加された会員の皆様は、ご自身でレンタカーを手配されイベントの前後で北海道内のオーベルジュやレストランを体験されたり、近隣の温泉も満喫されたりと充実した時間を過ごされたようでした。
理事・スタッフ及び会員様の一部は、札幌よりジャンボタクシーを乗り合い和気藹々と道中を共にいたしました。車内では、北海道の雄大な自然と豊かな食材のこと、全国のオーベルジュの皆様と一緒に今後チャレンジしてみたいことというダイナミックなお話だけでなく、自施設の経営やメニューについての悩みや相談など、普段はなかなかお話できないような会話も飛び交いました。

おわりに

今回は会場が北海道ということで、宿泊を伴う必要がありご参加が難しかった会員様もいらっしゃったことと思います。
北海道開催の意図としては、日本オーベルジュ協会が全国規模の組織であること、また、オーベルジュとはその地域ごとの魅力をいかにして体験していただくかがテーマであること、などを踏まえたもので、今後も日本各地様々な地域での実施を予定しております。ぜひとも、様々な地域のオーベルジュ体験を通して、オーベルジュの魅力の再確認をしていただくと共に、日本におけるオーベルジュのあり方について活発な意見交換ができるような組織にしてまいりたいと存じます。

2017年度オーベルジュの日イベントは、神奈川県葉山の「葉山ホテル 音羽ノ森」にて開催予定です。
 

全員で集合写真!

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